再び日出ずる国へ|212日目〜218日目|page.32

 

2時間の映画で言うと、ラスト30分。

何の盛り上がりも見せなかった物語が、幕を閉じようとしている。

 

ここまでの時間がすべて伏線だったことを信じて。エンドロールの流れる劇場が熱気で包まれることを信じて。

倦まず弛まずにラストシーンを迎えにいく。

ラストミッションはベーカリーの開業支援

最後の大仕事は、ベーカリーの開業支援になりそうです。

前々から、いつか店を開くとは聞いていました。ついに来月、ベーカリー兼レストランをオープンさせると言うのです。

 

開業しようと言うは、先輩隊員の代から仲のいいルワンダ人女性。歳の頃は、50歳くらいでしょうか。

 

彼女の家で、ルワンダ料理やシナモンロールをご馳走になる機会もあり、その腕は知っています。何を作ってもハイレベル。美味しい。

今回も、レモンのパウンドケーキを焼いてきてくれました。これも、うまいのなんの。

 

商品のレパートリーも豊富で、様々なフレーバーのパウンドケーキやシナモンロールなどは作り手が少なく、差別化が図れます。もちろん、クオリティも申し分ないです。

 

ところが、肝心のベーカリーを開く土地が見つからない。

彼女と一緒にライバル店の視察を兼ねて街を歩いてのですが、街の中心に近い場所はどこも埋まっています。

 

ぼくはルワンダで、立地の大切さを痛いほど味わっています。

以前から支援している別のベーカリーは、商品のクオリティは高いものの大苦戦しています。

 

場所が悪いから売れないと言い張るルワンダ人たちに、立地が悪くても闘えることを証明するために走ってきました。

しかし、ここまでの5ヶ月で証明できたのは、自分の無能さだけ。

 

なので、立地は慎重に選びたいところ。

彼女の店は何としても成功させたい。彼女を勝たせる、これがぼくのラストミッションになりそうです。

自分の仕事が好き

コーペラティブを訪れると、みなボールペン片手に走り回っています。

もう一方の手には、なにやら名前や電話番号が綴られたリストが握られています。

 

何ごとか尋ねると、「ワクチンだ」と一言。

組合のメンバーにワクチンを接種させるための名簿らしいのです。ルワンダでは8月に入り、急速にワクチン接種が広がっています。

 

街中で異常な人だかりを見つけると、だいたいがワクチンの摂取を待つ群衆です。

ロックダウン解除後、街はコロナ前と変わらぬ活気を取り戻しています。ルワンダは、完全に新型コロナウイルスと共生する段階に入ってきたように感じます。

 

そんな彼らに「ロックダウン解除後、何か問題はないか?」と問うと、「すべて上手くいっている」と台風一過の日差しのごとく輝き散らかしています。

 

「働ける」それだけで、嬉しくて堪らないのでしょう。

ルワンダ人に仕事は好きか質問すると、待ってましたばかりの笑顔で「好き」と答えてくれます。一点の曇りのない好きに、こちらが元気になります。

 

自分の仕事を好きと言い切れるほど、人間を幸福に導くことはありません。ステキです。

 

全力で抵抗する表情筋に逆らって口角を上げ、「うん、好きだよ」と強がって答えていた社会人時代を思い出します。

 

半年もしないうちに、協力隊も卒業です。

好きで好きでたまらない仕事をしたいものです。無垢にほほむルワンダ人のように。

ワクチン接種のため日出ずる国へ

ぼくたち協力隊も、日本に一時帰国してワクチンを打つ運びとなりました。

その分の任期は伸びるらしく、戻ることを決めました。

 

当初は戸惑いましたが、よいタイミングとも捉えられます。

1年前の緊急帰国とは違い、残りの期間でやるべきことが明確になっています。そのため、一時帰国にレバレッジを効かせることができそうです。

 

たとえば、日本酒のつくり方を学ぶために酒蔵への訪問、祭りで提供する日本食の準備、ホテル隔離のまとまった時間で経営のテキストの完成、他のボランティアの意見交換。

と、この機会だからこそ、できることは少なくありません。

 

さっそく、同僚たちに日本に帰ることを告げました。

 

この世界には、2種類の人間がいます。

「日本で何を買ってきてくれるんだ」と言う、唯物論的反応を見せる人間と、「日本に帰るの大変だろ、ルワンダで受けろよ」と言う、唯心論的反応を見せる人間。

 

もちろん、好感を抱くの後者です。

実際に何か買ってきてあげたいと思うのは後者です。付き合うなら後者です。たこ焼きパーティーをしたいのは後者です。肩を並べてオリオン座を探したいのは後者です。

 

どっちの人間が、良い悪い、好き嫌い、という話ではありません。一緒に星を見たいかどうか、ただそれだけの話です。

 

しかし、中には北斗星を投げつけたくなる人もいます。

 

普段、ぼくのことをぞんざいに扱う同僚のルワンダ人女性がいます。たぶん嫌われています。

いつも彼女からは、わたし英語は使えないの、わたしと話したいならキニアルワンダ語を使いなさいと、今にもクリリンのことかと激昂しだしそうなオーラが溢れ出ています。

 

ところが、どこから聞きつけたのか「日本に帰るならミキサーを買ってきて」と流暢な英語で迫ってくるのです。

 

英語話せるやん、急に都合がいいな、クリリンはもういいんかい、という心の叫びにはそっとフタをする。

そして、「探してみるよ」と毅然とした態度で対応し、フタに重石を置くように自分で自分の頭を撫でる。

こうして、ナメック星に平和が訪れるのです。めでたし、めでたし。

 

とかく、すぐにルワンダに戻ることが確定している帰国は、ポジティブな面が多いです。

活動面でも生活面でもラストスパートに向けての有意義な準備ができそうです。

 

1ヶ月の一時帰国、再々赴任後の3ヶ月。もう本当にラストです。

アフリカの大地で、ハデに当たって砕けます! 汚ねぇ花火を咲かせてやります!!

 

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