三毒追放を心がけている。
妬まない、怒らない、愚痴らない。
この三毒を持っていいことなんて一つもない。
むしろ、負のスパイラルに陥るしか道はないのだ。
昔はそんなことを知らなかった。よく三毒で吐いていた。
モテるやつを妬んだ中学時代、口うるさい両親に怒った高校時代、上手くいかない就活に愚痴った大学時代。
ところが、大学を卒業すると、素晴らしい出会いが重なり、価値観が180度変わった。
以来、人間力を磨く勉強をしてきた。
よい人生を歩むための実践をしてきた。
三毒を追放してきた。
しかし、再び三毒が爆発した。
ゆるせない。
キーボードに向かう手が怒りで震えている。
ゆるせない。
『DAZN』がゆるせない
ダゾーンとは、サッカー、野球、ラグビー、モータースポーツ、格闘技といった世界中のスポーツを観戦することができる動画配信サービスだ。
サッカーファンのほとんどはダゾーンを利用しているはずだ。
海外サッカーを観るなら、ダゾーン一択である。それほどに驚異的なサービスを展開している。
これまで海外サッカーを観るには、有料チャンネルを契約するしかなかった。
視聴できるリーグはわずかで、自分の応援するクラブの試合が放送されるかは、分からないという状況だった。くわえて、料金も高かった。
それに対して、ダゾーンは欧州主要リーグはすべて視聴可能。かつ全試合放送。
オリジナル番組もあったり、少し前まではチャンピオンズリーグも観れた。
なのに、2000円という破格すぎるお値段設定。凄すぎる。
だから、ダゾーンには感謝してもしきれないのだ。
そんなダゾーンが大好きだった。
なのに……なのに……、やらかしてくれた。
ぜったいにゆるせない事件が起きた。
日曜日の9月26日は、1年で最も重要な日だった。
それは、ノースロンドンダービー。プレミアリーグのアーセナルとトッテナムが激突する世界屈指のダービーマッチだ。
リーグの順位なんてどうでもいい、試合内容なんてどうでもいい。
とにかくアーセナルに勝てれば、なんだっていい。このゲームは勝ち負けがすべてなのだ。
世界中のアーセナルサポーター、トッテナムサポーターは、血をグッツグッツにたぎらせてこの日を待っている。
憎きライバルを真正面から、ぶちのめせるこのダービーデイを。
この決戦の日に、日本に帰って来れたことは本当に運がいい。
サービス提供エリア外となるルワンダでは、ダゾーンを利用するできない。つまり、サッカーを観戦することすら叶わないのだ。
ダービーを観るために帰ってきたと言っても過言ではない。
ただ、キックオフの時間が遅かったので、翌朝、観戦することにした。
血が騒ぎすぎて、夜中に何度か目覚めてしまった。それほどに気持ちは最高潮まで高まっていた。
まだ日の昇っていない4時に飛び起き、パソコンの電源を入れる。
そして、ダゾーンを開く。
目に飛び込んできたのは、スコアの一覧。
赤いアイコンの横に数字の3。白いアイコンの横に数字の1。
……。
はあぁぁぁぁぁぁっ?????
なぜ? なぜ? なぜ?
サイトを開いた瞬間に、スコアがでるの?
ありえない、ありえない、ありえない。
意味がわからない。なぜ、ホーム画面のいちばん目立つところに、試合結果が表示されているの? てんで意味がわからない。
スポーツの動画配信サービスが、最もやってはいけないことだろうよ。ふざけるなよ。
ルワンダに行く前には、そんなアホみたいな機能はなかった。
ダゾーンから離れた半年の間に、クソみたいな機能が誕生していた。
まず、試合に負けていること自体ショックである。
でもそれ以上に、強制プレイで結果を知らされてことに、腹が立って仕方がない。
ありえない、ありえない、ありえない。
久々に腹の底からイライラしながら、とりあえず試合を観戦した。
もう結末はわかっている。あの忌々しいアーセナルに惨敗するのだ。
あのスコアが目に飛び込んできた瞬間を思い出しただけで、米が炊ける。
ああ、腹が立つ。
設定からスコアを表示する機能をオフできるらしいこと知った。
ふつう逆だろ。はじめオフになっていて、スコアを観たい人だけオンにすればいい。
だって、これスポーツの動画配信サービスですよ。キックオフ前に、結果がわかってどうするの?
そんなこんなで、三毒をぶちまけてまいりました。
この度はお見苦しいところをお見せしてしまい、大変申し訳ございませんでした。
とはいえ、これだけは吐き出さないわけにはいかなかったのです。
どうもトッテナムのこととなると、コントロールが効かなくなってしまうのです。
どうかご容赦ください。
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