インディさながらの冒険をしたり、日本のワンマン列車に想いを馳せたり、父親を心底尊敬したり、なんともエモーショナルな週だった。
ぼくには、クリスタルスカルの怒りを沈めることは、できないかもしれない。
それでも、日本とルワンダの信頼をつなぐことはできるはずだ。
名前が可愛いお米のコーペラティブ
今週のハイライトは、お米のコーペラティブへの訪問。
このコーペラティブは、親会社みたいな存在で、9つの米農家さんのコーペラティブを束ねている。
端的に言うと、親会社では米の販売、子会社では米の生産をしている。
彼らの持つその畑に、連れて行ってもらえることになったのだ。
ぼくが活動するルワマガナには、5つの団体があり、そのうちの4つに訪れた。このエリアの責任者アルベールが運転する車で、水田を巡った。
このアルベールの笑った顔が、小中と仲のよかった友人の笑った顔と瓜二つで、初めて会ったときから親近感があり、すぐ好きになった。
その笑顔のとおり、人が良すぎる。この日も、自分の仕事そっちのけで、半日かけて車を走らせ、案内してくれた。
「正しい生き方をしている証拠が、良い人相」と、経営コンサルタントの船井幸雄さんが言うように、生き様はほんとうに顔にでると思う。
町の中心部から、車で10分ほど行ったところに、ひとつ目の団体があった。
町から畑まで下っていくのだが、その道がひどいのなんの。首がもげそうになるほどの悪路である。
ディズニーシーのインディ・ジョーンズの3倍は揺れる。クリスタルスカルぶちギレ状態。さすがのインディでも、外に投げ出されかねない。
ひとつ目の米農家さんのコーペラティブの名前は、「コクリブ」。可愛い。
コクリブは、32ヘクタールの水田を持っているらしい。なので、東京ドーム6個分の広さもの土地を耕していることになる。
広さといえば、東京ドームが代名詞になっているが、イメージできる人がいるだろうか。正直ぼくには、いまいち想像がつかない。
第一に、全国民が東京ドームに行っているはずがない。
第二に、東京ドームへ行っても、観客席の一部から遠くのグランドを眺めるだけである。
まだ、ディズニーランドを単位にした方が、想像しやすいと思うのだ。
ディズニーランドは国民の8割は訪れたことがあるらしいし、ディズニーランドでは実際に端から端まで歩き回る。
そんなわけで、コクリブはディズニーランドの半分くらいの土地を耕している……、結局これもイメージしにくい気がする。とにかく、とてつもなく広いのだ。
アフリカと日本のワンマン列車
次いで訪れたのが、「コクリガ」「コリチャ」「コクリチ」。やはり、名前が愛くるしい。
「ファイファー」「フィドラー」「プラクティカル」というのが、三匹の子ぶたの名前らしいから、ぜったいこっちに変えたほうがいい。
そう、子ぶたたちの名前を案じながら、畑を駆け抜けた。
流れていく風景が日本を思い出させる。
日本の地方の田園風景によく似ているのだ。どちらも田園なのだから、当たり前といえば当たり前だが、アフリカの大地とワンマン列車の車窓から見える日本の大地がリンクしたのは、意外だった。
急に日本が恋しくなってきた。
日本に帰りたい、旅行がしたい。
それはそうと、アルベール含めどこの米農家さんたちも、めちゃくちゃに優しい。
ルワンダには優しい人が多いが、とくに温かい気がするのだ。
信頼で世界をつなぐ
さらにインディしながら奥へ進むと、その理由が見つかった。
それは、ダムだった。
このダムは、JICAが作った。正確には、日本のゼネコンが建設した。
彼らは、このダムのおかげで、1年を通してお米を生産できている。
「信頼で世界をつなぐ」というのがJICAのビジョンで、日本とルワンダが信頼で結ばれた結果、日本人にとても友好的なのである。
そして、日本企業の技術力の高さには驚かされる。コンクリートが美しい。
まっ平に打たれた灰色のコンクリートに感動する日が来るとは、思ってもみなかった。
日本にいると気づきにくいのだが、ゼネコンは間違いなく世界を変えている。
このダムは、確実に農家さんたちの生活を支え、人生を変えた。
ゼネコンに勤める父の顔が浮かび、心から尊敬の念が湧いた。なにげなくトンネルや高速道路を作っていたが、いま思えばすごいことだ。
ぼくたちの生活を支え、人生を支え、世界を変えている。
道が平らというだけでも、多くの命を救っている。
インディすら吹き飛ぶであろうあのぼこぼこの道で、事故が起きないはずがない。
日本でクリスタルスカルがぶちギレるのは、魔宮に侵入したときだけである。
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