江ノ島はキラキラしている。
好きな子と来た思い出があるからじゃない。むしろ、今思い返しても苦しくなるほど、中ニ男子をしていたあの時期の淡く苦い記憶が心をくすぐる。ああ、イタイ。でも、なぜか好き。
十二月の江ノ島に、こんなにサーファーがいるなんて知らなかった。富士山がここまで大きく見えることも知らなかった。新たな江ノ島を知れて、嬉しくなる。なんて魅力的なんだろうか。
もう恋に恋するように江ノ島に恋してる。
砂浜でおじいとおばあが輪になって、杖を使ったエクササイズをしている。それはそれで風情があるし、江ノ島に溶け込んでいる。
恋焦がれているから、僕の瞳には、すべてが良くうつるのだろうか。
ひとつふたつと寄せてくる江ノ島の波は、ぼくにセンチメンタルとロマンチックを届けてくる。
なぜこんなにもアオい感情になるのだろう。
ここには本物がある。
ときに甘く、ときに苦く。甘いだけだと、飽きてしまう。だから、ちょっとだけ自分の心をぎゅっと絞ってくれる、その刺激がちょうどいいのだろう。
えのすいにスキップしながら向かう子どもたちの愛おしいさよ。
初々しく身を寄せて江ノ島タワーへ向かうカップルの愛おしさよ。
江島神社はいつ来ても、心に迫るものがある。
ごりごりの神奈川県民なのに、遠方から初めて江ノ島に来たような顔でお詣りして、観光客に紛れ込む。いとおかし。
感情的な気分を引っ張り出してくれる江ノ島が、僕は大好きだ。
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