あの男が帰ってきた。
炭屋のジョナスの従業員だったエジデが帰ってきた。
彼の肩を抱いて飛び上がるほどに嬉しかった。
なぜなら、優しさが滲みでた可愛い笑顔のエジデくんが大好きだったから。
半年前まで彼は、ぼくが支援している炭屋のジョナスの店で働いていた。
だが、誰かに唆されたのか、ある時から自分で店を始めたのだ。
なんと、ジョナスの店の横で。
しかも、商品は炭。
エジデくんは店を辞める理由に、病気を直すために実家に帰ると、ジョナスに伝えたのにだ。
さすがに無理がある。
元雇い主の横で同じものを売っているのが、バレないはずがない。(ルワンダ人よ、ぜったいにバレる嘘をつくな)
案の定、1ヶ月もしもないうちに彼はどこかへと消えてしまった。
悲しかった。
彼の笑顔を見れなくなることが。もう二度と会うことはないと覚悟した。
エジデくんが去ったあとも違う従業員を雇って、ジョナスの支店は営業を続けていた。
ところが、1ヶ月ぶりに任地に帰ってくると、ジョナスの支店は閉まっていた。
聞くところによると、しばらく従業員が病気で休んでいるようで、また新しい従業員を雇わなければと嘆いていた。
その翌日だった。
職場に向かうためにジョナスの支店の前を通ると、そこにはあの男の姿があった。
あのチャーミングな八重歯が見えた瞬間、思わず彼の肩を抱いた。
よかった。ほんとうによかった。
ジョナスは新しい人を雇うとは言っていたが、まさかエジデを再雇用するとは予想だにしていなかった。
しかし、翌日、エジデくんの姿は別の場所にあった。
なんとジョナスの店ではなく、自分の店を開いていた。
別に、自分で店を持つことは良いことである。
ただ、なんでまた炭……。そして、なんでまた元雇い主の近隣に……。
おいおい、エジデよ。
学習してくれよ。
とかくエジデくんに再会できたのは嬉しい。
あとはジョナスの店とケンカしないように、どっちの店も繁盛することを祈るしかない。
また日常から彼の優しい笑顔を失うのは嫌だから。
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