【page.20】マーケティングという概念が存在しない世界|128日目〜134日目

 

マーケティング隊員なんていらない。

郡庁のあるこの地域は、発展を続けているし、助けが必要な様には見えない。

ぼくは任地のルワマガナに来て、常々そう感じていた。

 

ところが、もしかしたら本当にマーケティング隊員が必要なのかもしれない。

そう思える機会が、ついに訪れたのだ。

商品をつくった、その先は?

今週は、ひとつひとつのコーペラティブに、より深く切り込んでいくことにした。

国が投資をした施設「アガチリロ」。ここを活動の拠点にする大工のコーペラティブに話を聞きに来た。

 

木材を切ることに勤しんでいた副代表のジョゼフをつかまえ、質問を投げてみた。

 

「何人ぐらい働いているの?」

「124人だ」

「何時から働いているの?」

「7時から18時で、月曜から土曜まで働いている」

 

あいかわらずよく働く。コーペラティブや個人でビジネスをしている人に基本休みはないように思う。日曜日に教会へ行くための時間さえ確保できればいいのだろうか。

 

「売上は?」

「1週間で、100,000ルワンダフラン」

「ん?」

 

あまりに少なすぎる。日本円にして、週におおよそ1万円しか収入がないのはおかしい。100人を超える従業員と、この地域でもっとも優れた設備を持つ団体の数字にしては低すぎる。

 

木材を切る音や釘を打つ音が、話を聞き取りづらくする。聞き間違いかもしれない。

 

「売上は、100,000? あまりにも少なくない?」

「100,000だ。でも、1週間だぞ」

 

間違いではなかった。

月に換算しても、400,000ルワンダフラン。しかも、木材を買うのに月、500,000ルワンダフランかかっていると言うのだ。材料費だけで、完全に赤字じゃないか。

 

なぜ売上が少ないのか聞いてみると、電動ノコギリの裁断音に負けじと「客がいないんだ」とジョゼフは叫んだ。

 

「倉庫は商品であふれているだろ? 今日、倉庫の写真を撮って、来週きたときに見比べてみな、まったく変わってねえから」

そう言ったジョゼフは、数時間後に火星人が攻めてくることを悟った地球人のように笑っていた。

 

たしかに倉庫兼売り場には、歩くスペースがないほどに家具が詰まっている。

にもかかわらず、大工さんたちは、今日もせっせとベッドやら食器棚を作り続けている。

 

おそらく、在庫過多でも製造し続けないといけない状況なのだろう。

木は大量に買っているし、機械はリースしているし、なにより100人以上の従業員を手持ちぶさたにはできない。

そして、この施設を使うかぎり、国からの目があり、稼働し続けないとならないのだろう。

 

現在、支援しているパン屋も同様である。パンを焼き上げる。でも、誰も買いにこない。

お客様がどうしたら来るか考えようと提案しても伝わらず、場所が悪いからどうしよもないの一点張り。

 

いま思えば、簡単だ。ここには、マーケティングという概念が存在していないのだ。

ものを作って、それでおしまいなのだ。

 

もしかすると、マーケティング隊員は必要なのかもしれない。そう思えるようになってきた。

資金や立地はもちろん大きな要素ではあるものの、アイデアで厳しい現状を変えれることを証明したい。

 

7ヶ月という残された期間で、マーケティングという概念をこの世界に誕生させ、彼らの努力を少しでも手助けしたい、そう強く思う週であった。

人生ゲームでリベンジ!!

パン屋や炭屋といった個人ビジネスの支援、コーペラティブでのヒアリングと同時平行で、お金に関するワークショップを作っていた。

 

1年前、貯金のワークショップを開催して、大こけした。

ぼくの英語はあまり理解されず、ディスカッションなどのアクティビティもうまく伝わらず、その結果、時間配分もめちゃくちゃになり内容の大半を省略。反省だらけの2時間になった。

 

今回も、青少年センターのボスから、ルワンダに貯金文化を根付かせてほしいと頼まれた。

 

そこで去年の苦い経験を活かして、すべてキニアルワンダ語で作り、ルールもできるかぎり簡単したルワンダ版人生ゲームで挑むことに決めたのだ。

 

人生ゲームの完成に向けて、一心不乱にハサミで紙幣を切っていると、青少年センターのボスであるアナトールがやってきた。
イケメンでスタイルもよく、おまけに優しい。

 

昨年、印刷中にプリンターから誤ってUSBケーブルを抜いてしまい、ルワンダ人女性にぶちギレられたとき、声をかけてくれたのも彼だ。

あのとき、アナトールが「気にすんな」と言ってくれてらなかったら、ムズング(外国人)男泣き事件として、ルワンダ中を駆け巡っていたことだろう。

 

その彼は、作りかけの人生ゲームを見て、「これは素晴らしい、月曜日までに完成させてくれ」とベタ褒め。

 

好感触だったのは嬉しいが、おそらくアナトールはこれが一体なんなのか理解はしていないはずだ。

漢方薬を口に流し込んだ瞬間、「ニガっ」と叫びたくなるくらいの間で、素晴らしいと発したからだ。

 

ともあれ、彼には恩がある。

金曜日に、休日を挟んで3日後までに完成させろという無茶ぶりだったが、ベストを尽くすと答えた。

ワークショップの開催自体は、6月末になると思うが、今回こそ成功させたい。

 

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