世界遺産検定のマイスター資格保持者のぼくが、アフリカの世界遺産を紹介します!
今日取り上げるアフリカの国は、ウガンダです!
はじめにウガンダについて、簡単に紹介します。
ウガンダは、アフリカ大陸の東に位置する内陸国。ビクトリア湖をはじめ湖が多く、大部分が海抜1200メートル前後の高原地帯となっています。
イギリスの植民地時代には「女王の首飾り」と称されたように緑豊かで肥沃な大地が広がっています。
「ウガンダ」とは、ブガンダ王国のスワヒリ語にちなみます。
そんなウガンダには、3つの世界遺産があります。そのうち2つが自然遺産となっております。
基本情報
- 面積:24.1万平方キロメートル(ほぼ本州大)
- 人口:4,427万人(2019年、世銀)
- 首都:カンパラ
- 民族:バガンダ族、ランゴ族、アチョリ族等
- 言語:英語、スワヒリ語、ルガンダ語
- 宗教:キリスト教(6割)、伝統宗教(3割)、イスラム教(1割)
- 主要産業:農林水産業、製造・建設業、サービス業等
- GDP:351.7億米ドル(2019年、世銀)
- 一人当たりGINI:780米ドル(2019年、世銀)
- 経済成長率:6.8%(2019年、世銀)
- 通貨:ウガンダ・シリング
【世界遺産マイスターが教える】ウガンダの世界遺産全3選【アフリカの世界遺産】
カスビのブガンダ王国の王墓
・登録年 2001年(2010年危機遺産登録)
・登録基準(ⅰ)(ⅲ)(ⅳ)(ⅵ)
ウガンダ中南部のカスビ地方に、ブガンダ王国の王であったムテサ1世によって1882年に造られました。
カスビのブガンダ王国の王墓とは、もともとは木や葦、藁、漆喰、レンガなどで造営された宮殿でした。
ところがムテサ1世が没すると、宮殿はそのまま彼の墓所となったのです。
彼の後を継いだムワンガ2世も亡くなったあと、同じ場所に葬られることになりました。
ひとりの王に一つの墓が当てられていたブガンダ王国では異例のことでした。
そのあとを継いだダウディ・クワ2世も、ブガンダ王国最後の王であるムテサ2世も、死後この墓所に葬られました。
墓所は今なお、ガンダ族にとっての伝統的なよりどころとなっています。
このように信仰や霊性といった無形の価値と深く結びついている点や、19世紀以前に数百年以上も発達してきた技術が王宮・王墓建設に反映されている点が、世界遺産として評価されいます。
しかし、2010年3月火災で焼失し、危機遺産リストに記載されることになりました。原因は不明のままですが、権力争いの影響も指摘されています。
ブウィンディ原生国立公園
・登録年 1994年
・登録基準(ⅶ)(ⅹ)
ブウィンディの原生国立公園は、アフリカの生態系の中でも最も豊かな地域のひとつです。
アフリカ大地溝帯の西リフトバレー沿いに位置しています。
コロブス・モンキーやチンパンジーなど120種の哺乳類が生息し、27種の爬虫類、200種の蝶、300種以上の鳥などが確認されています。その中には絶滅危惧種や大地溝帯の固有種も含まれています。
また、ブウィンディの原生林は植物も豊富で、200種の樹木、100種のシダ種も生育しています。
とくにこのブウィンディ原生国立公園は、世界有数のマウンテンゴリラの生息地として有名です。
一時期、内戦や密輸の影響で100頭まで減ったものの、現在は約300頭まで回復しています。この数は全世界のマウンテンゴリラの半数にも及びます。
ルウェンゾリ山地国立公園
・登録年 1994年
・登録基準(ⅶ)(ⅹ)
ルウェンゾリ山地国立公園は、アフリカで3番目に高い山であるスタンリー山(標高5,109m)を含む、山岳地帯です。
ウガンダ西部に位置し、コンゴ民主共和国との国境付近にまで広がっています。
ルウェンゾリとは、現地のバコンジョ人の言葉で「雪を戴いた山」を意味するように、赤道直下にもかかわらず山頂は万年雪に覆われています。
他にも、ナイル川の源流を抱く伝説の山脈であることから、「月の山脈」とも呼ばれていました。
ルウェンゾリ山地国立公園は、標高と共に変化する植生が特徴的です。
標高3,000mでは、至る所に生い茂る苔や毎日のように覆われる霧に適応した草花を見ることができます。
標高4000mでは、通常の何十倍もの大きさである5〜6メートルまで巨大化した高山植物のセネシエやロベリアが生育しています。
また、公園内には、チンパンジー、ブルーモンキー、イワダヌキ、モリイノシシ、ルウェンゾリトゥーラコ、フランコリン、オリーブバトといった多くのユニークな野生生物も暮らしています。
登録基準
- (ⅰ)人類の創造的資質を示す傑作。
- (ⅱ)建築や技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展において、ある期間または世界の文化圏内での重要な価値観の交流を示すもの。
- (ⅲ)現存する、あるいは消滅した文化的伝統または文明の存在に関する独特な証拠を伝えるもの。
- (ⅳ)人類の歴史上において代表的な段階を示す、建築様式、建築技術または科学技術の総合体、もしくは景観の顕著な見本。
- (ⅴ)ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落や土地・海上利用の顕著な見本。または、取り返しのつかない変化の影響により危機にさらされている、人類と環境の交流を示す顕著な見本。
- (ⅵ)顕著な普遍価値を持つ出来事もしくは生きた伝説、または思想、信仰、芸術的・文化的所産と、直接または実質的関連のあるもの。(この基準は、他の基準とあわせて用いられることが望ましい。)
- (ⅶ)ひときわ優れた自然美や美的重要性を持つ、類まれな自然現象や地域。
- (ⅷ)生命の進化の記録や地形形成における重要な地質学的過程、または地形学的・自然地理学的特徴を含む、地球の歴史の主要段階を示す顕著な見本。
- (ⅸ)陸上や淡水域、沿岸、海洋の生態系、また動植物群集の進化、発展において重要な、現在進行中の生態学的・生物学的過程を代表する顕著な見本。
- (ⅹ)絶滅の恐れのある、学術上・保全上顕著な普遍的価値を持つ野生種の生息域を含む、生物多様性の保全のために最も重要かつ代表的な自然生息域。
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