ファミレスでいちばん好きなのは、デニーズだ。
小学生くらいの時、じいちゃん家に遊びにいくたび、デニーズに連れて行ってもらった。
首都高と同じ高さの看板を掲げるデニーズに。2階建てで1階部分が駐車場になっているタイプの。
じいちゃんは決まって、和風ハンバーグを頼む。
その影響か、自分の母も和風ハンバーグを頼んでいた。
ぼくはデニーズの醤油ラーメンが好きだった。
唐揚げがトッピングされたあのファミレスラーメン。あのシンプルでそつない。あれをまた食べたい。今や見かけなくなってしまった。
そして、中学生になると、自分も和風ハンバーグを注文する。すこし大人になった気になれた。
じいちゃんは、自分が大学生の頃に他界した。
ぼくにとって、デニーズはじいちゃんとの思い出の場所だ。
正直じいちゃんが、どんな顔で和風ハンバーグを食べていたかなんて思い出せない。でも、幸せだったに違いない。
少なくともぼくはじいちゃんといくデニーズが大好きだった。
帰りにレジ横にあるおもちゃやらお菓子やらをねだるとこまで含めて好きだった。
焦茶色の皮の硬めのソファーが好きだった。満腹で長い階段を降りるのが好きだった。ひっくり返りそうになるほど見上げないと見えないデニーズの看板が好きだった。
あの黄色が好きだった。
じいちゃんが大好きだった。
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