サプリメントとしての本

 

自己啓発本やノウハウ本って読みやすい。

とにかく読みやすく作られている。

 

この類の本は、サプリメントである。

服用すれば、心が軽くなったり、悩みの解決方法が分かったりする。

 

けど、その瞬間だけである。

次の日になると忘れている。一週間後には、ほぼ記憶がない。

そして、また、心が重くなったり、悩みだしたりする。

 

自己啓発本やノウハウ本の効用は、服用した数時間だけなのである。

くわえて、書籍のタイトルは違えども、中身の成分は同じなことがほんとんどである。

 

だいたいの自己啓発本やノウハウ本は、原書となる書物があり、その成分を薄くしたり、成分を混ぜ合わせただけである。

 

それが悪いと主張したいわけではない。

ぼくは自己啓発本やノウハウ本が大好きである。

 

けれど、それを摂取し、成長した気になっていた自分を戒めたくて筆を取った。

 

肝心なのは、読むタイミングである。

22歳になるまで、本なんて読んだことがなかった。

 

読書嫌いだった頃、手に取った自己啓発本は革命だった。

文字通り人生に革命を起こしてくれた。なによりも読書の素晴らしさを教えてくれた。

 

けれど、「今は」である。

 

ただ、惰性で読んでいる。

読んでいるというより、見ている。頭を使わず、心を動かさず、眼球を上下左右さすだけである。

惰性でも読めてしまうほどに、自己啓発本やノウハウ本は読みやすいのだ。

 

いま読むべきは、惰性では読めない本である。

シナプス弾ける本やココロ躍る本である。具体的には、自然科学や社会科学の本や、近代文学といった重厚で読み応えのある本である。

 

ときに、サプリメントは必要であるが、サプリメントだけではダメなのだ。

サプリメントにできるのは、健康管理である。

 

真に健康になるには、正しい睡眠や適度な運動が必要なのだ。

健康体を作ったうえでのサプリメントなのだ。

 

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