大好きなジョナスを嫌いになった早朝ランニング

 

炭の専門店のオーナーであるジョナスが、ランニングに誘ってくれました。

一度は、ルワンダ人と一緒にスポーツをしたかったので、喜んで走ることに。

 

朝5時から2時間走るというジョナス。

朝早い分には問題ないのですが、どうも2時間という長さが気になります。

 

とはいえ、ストレッチや休憩も入れて、この時間なのだろう。実際に走る距離は、10キロに満たないはず。

 

朝5時のルワンダはまだ真っ暗です。標高が1500メートルと高いこともあって、日がでるまでは肌寒いです。

 

待ち合わせ場所で待っていると、いつもと同じ大きな目玉が二つだけ描かれた黒の可愛い帽子を被り登場したジョナス。やる気満々です。

 

アフリカの人というと、身体能力が高く、マラソンが得意なイメージです。

果たして、彼のペースについていけるだろうか。

 

ところが、走り始めると、そこまで早くありません。

ムズング(外国人)に手加減してくれているのか、10キロくらいなら、なんとかなりそう。

 

日曜日の早朝でしたが、ランニングをしているルワンダ人は多く見られます。

 

どうにかジョナスに食らいつき、7、8キロほど走り終えます。あとは、自宅付近のスタート地点に戻っておしまいかなと油断していたら、自宅とは反対の道へ進みます。

 

「えっ、こっち行くの? この道長いよね?」

「問題ない! これはスポーツだ!!」

 

ジョナスが選んだ道路は、往復5、6キロくらいあるはずです。

もうぼくの両足は限界が近く、スネと膝が悲鳴を上げています。最初は楽しかったランニングも、いまや部活です。きつすぎる。

 

言うことを聞かなくなり始めた身体をどうにか動かして走っていると、前から1台のバイクがやってきて、ぼくたちの前で止まりました。

 

「こいつは俺のカメラマンだ、写真を撮るぞ」

今日のために、わざわざカメラマンを雇っていたのです。

 

二人で並走する姿やストレッチをする姿に、一眼レフカメラが向けられます。

ランニングをしているルワンダ人たちに不思議がられながらも、ひたすらシャッターが切られます。

 

すこし恥ずかしかったですが、おかげで休憩はできました。

あとは、数キロの道のりを帰るだけだと思っていたら、大間違い。

帰路とは違う道へ進むではありませんか。

 

「えっ、これ全部で何キロ走るの?」

「20キロだ!」

 

ウソだろ? ここからさらに5、6キロ? もう走れない。すでに足は限界を迎えています。

 

走るペースが落ちようもんなら、ジョナスはぼくの手を握って引っ張り「Increase!!(インクリース)」と言って、無理やり走らされるのです。

いつも優しくて大好きなジョナスも、このときばかりは嫌いになりかけました。

 

このあと、何回インクリースさせられたことか。笑

必死の想いで自宅にたどり着いたぼくに対して、ジョナスは涼しい顔で仕事へと行きました。

 

やっぱりタフだったルワンダ人。というよりジョナス。

職場には、自家製の100kg超のバーベルがある男です。そのランニングもただでは済みませんでした。

もうしばらくは走りたくない。走っても5キロでお願いします。

 

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