時折、自分の真面目さが嫌になる。
人生で初めて夜のお店に行った。
セクキャバというやつだ。こんな世界が存在していたことを初めて知った。とてつとない世界だ。
しかも、1万円とかで3人とかだ。行為を考えると、シンプルに安いと思う。
女性は胸を揉ませ、ディープキスをする。どこの馬の骨かわからない男に。すごいサービスだと感心した。
初めてで勝手がわからないのもあるし、同僚たちの前で女の子とディープキスをするなんて恥ずかしかった。
2件梯子して、計5人の女性が接客をしてくれたが、一切何もしなかった。
ただただ世間話をして終わった。
話を続けるのきつかった。だって刹那の関係である。無理矢理つぎはぎだらけの会話をした。
せっせと行為に励む同僚たちはすごいと単純に感心した。
自分が何も出来なかったのには、経験不足と羞恥心よりも大きな訳がある。
それは好きな人がいたからだ。
好きな人がいたから、好きでもない人とキスが出来なかった。自分のピュアさを呪った。
今冷静に考えれば、身銭を切っているワケだし、あの時はサービスを享受すべきだった。
でも、出来なかった。それほどに好きだったのだ。しまいには、嬢たちに恋愛相談していた。
どんだけ自分は真面目な人間なんだと、すこし誇らしくも情けなくも思った。
貞操を守り切った訳だが、結末は失恋することとなる。
現実は厳しいのだ。
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